抄録
本稿では,Webサイト上のビッグデータであるホテル検索サイトデータをもとに,メルボルン大都市圏内部における宿泊施設の立地に関して考察を行い,地理学におけるWebデータの有用性と今後の改善点や課題を論じることを目的とした。その結果,①ApartmentsやAparthotelなどに代表される長期滞在需要を主な顧客とする施設が多いこと,②オーストラリアにおいて不動産関連ビジネスを行う中国人または中国系オーストラリア人が増加していることが明らかになった。そして,これらは既存のオープンデータでは得られなかった結果であり,ホテル検索サイトのWebデータから地域の特性を捉えるための基礎データとして貢献したといえる。その一方で,Webデータを利用する際にはデータの有用性と個人情報の扱いに注意が必要であることが課題として挙げられた。